シンゴのきになる話㊱ ギリシャ神話アポロンの巻(その6)
アポロンにはほかにも糸杉になった青年の話もあります。
エーゲ海のある島に住んでいたキュパリッソスもアポロンに愛された青年のひとりでございました。
その青年は一頭の牡鹿を可愛がっていたのでございますが、ある夏の日に自分が投げた槍が木陰で休んでいたその牡鹿に命中し死んでしまったのでございます。
キュパリッソス ああ、私は何ということをしたのだ。この鹿を弟のように可愛がっていたのに
アポロン キュパリッソス、死んでしまったものは仕方がないよ。早く元気になって、また一緒に野山を駆け巡って遊ぼう
キュパリッソス いいえ、アポロン様、私はいつまでもこの鹿の死を
悲しんでいたいのです
アポロン そうか、そうであれば、仕方がない。いつまでもお墓のそばで見守る糸杉になるがいい
ということで、墓地に植えられる糸杉になってしまったのでございます。
ギリシャ神話アポロンの巻(その7)につづく