シンゴのきになる話㊵ インドの生け花師匠の巻(その3)

また、私は大きな花瓶に飽きたので、自分のアパートから空になったペットボトルを何種類か持ってきて、上部を切断して花瓶代わりに使うようにしました。その方が好きな高さに調節できるのです。

中には、大きなペットボトルをカッターナイフで半分に切り、上の部分を逆さまにして下の部分に差し込んだりしたものもあります。また食品の入っていたビンをも花瓶にしたりしています。

少し前に私の秘書が退社し、代わりに採用されたのは中年の女性でした。
彼女は掃除のおばちゃんに替わって、私の部屋の花を生けてくれるようになりました。

しかし、これまた、単に花を差し込むだけでした。
その生け方に何かもの足りなさを感じました。そこで私は彼女に生け花は自分の気持ちを表わすものであると伝えました。毎朝、今日生けた花は何が言いたいの、家族?娘さんへの愛情?幸福感?などと聞くのです。

が、彼女は私が何を言っているのか分からないようです。最近は毎朝花を生けてくれるのですが、黙って花を生けてそのまま自分の席へ戻っていくようになりました。

インドの生け花師匠の巻(その4)につづく

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