手拭いの暖簾(22-1)わらびとふき(追伸)
富貴紙(ふきがみ)について画材屋佐藤紙店から頂いてきたパンフレットから抜粋します。
紙の原料はコウゾ・ミツマタ・ガンピやエジプトのパピルスやバナナ繊維が知られています。この富貴紙は「大蕗の表皮」を原料に作られています。大蕗は直径10㎝、高さ2m超もありその太さにも関わらず柔らかくシャキッとした食感と爽やかな香りがあるといいます。
その捨てられていた皮を北海道大学の農学部で研究開発されたと書かれています。釧路音別町にはアイヌのコロボックル(蕗の下の人)という伝説も残っているそうです。この伝説が冨貴紙の命名の由来とのこと。
捨てられてしまう表皮を原料に梳かれた紙は落ち着いた色合いとやさしさのある紙です。
便箋や封筒・はがきや名刺にするほか小中学校の卒業証書として一生の想い出にもなっているようです。
版画家の中川敏彦さんの「弊舞橋の夕日」と題する絵はがきを主題にして冨貴紙の梳きこみの多いのと少ないのを使って額装してみました。
単調さをカバーするために細いフィレと呼ぶ線は太さを変え、2段の厚みを付けました。ガラスも額縁もなく、主題も周りも同じ材質という変則的な額装ですがオレンジのぼかしの和紙(鳥取 因習和紙 折りたたんで染める板じめ)が全体をまとめる効果があったようです。額縁代わりの色にも使いました。北国の穏やかな夕日の風景が蘇ってきます。しばらく我が家で旅の思い出とともに楽しんだ後佐藤紙店へ差し上げようと思っています。素敵な紙はこんな使い方もあるのですよとお教えしたくて!
AZ