シンゴ旅日記インド編(その31)この国のかたちの巻

この国のかたちといっても、難しい話ではありません。

『国』という言葉の語源がサンスクリット語の『ヌガラ』『ナガラ』にあることを知りました。

昔の国の意味は王様の統治する範囲の土地、王都といったニュアンスだったのでしょう。

インドでは『ナガール』と言います。

このナガールという言葉が付いた地名が沢山あります。

ガンディ・ナガール市(グジャラード州)、アフメド・ナガール市(マハラシュトラ州)、チャンディ・ナガール市(パンジャブ州とハリヤナ州の州都)等々数えたらきりがありません。

プネにはカリヤニ・ナガールという商業地もあります。

これがタイ語では『ナコーン』と変化します。町、王都という意味です。

ナワ・ナコーン(バンコクの少し北の地名)、ナコーン・ラチャシマ(東北部の県名)等々です。

それに工業団地で売り出してきたアマタ・ナコーンもあります。

タイ語では最後に来るL(R?)音はN音に音韻変化します。

ですから居酒屋での『お勘定お願いします』のCheck Billも『チェック・ビン』といいます。

カンボジアではNAがANに変化します。『アンコール』です。

そうです、あの『アンコール・ワット(王都の寺)』です。このお寺は12世紀初頭にヒンズー教寺院として建立されヴィシュヌ神が祭られていました。しかし16世紀に仏教寺院に改修されヒンズーの神様が仏像に置き換えられたといわれます。1992年に世界遺産に登録されました。

 

インドネシア語でも『国』のことを『ヌガラ』とか『ヌグリ』と言います。

ちなみに、インドネシア語には本来、男性名詞、女性名詞はありませんがサンスクリット語から入って来た単語には最後に男性はa、女性はiで終わります。Mahasiswa-Mahasiswi(大学生),Dewa-Devi(神)、Putra-Putri(王子、王女)などです。

日本にも『ナガラ』のつく言葉が多くあります。漢字では『長柄』、『長良』と書きます。

我がふるさとの岐阜県にも鵜飼で有名な『長良川』があります。

しかしこの長良川のナガラの語源は川の流れの『ナガ』に『そこら、ここら』の場所を表す『ラ』を付けて出来上がった言葉と言われます。

皇族にも天智天皇のひ孫に『長柄王』という人がいました。

神社では関東地方に『長柄神社』、『長良神社』があります。

『長柄』は古代に大和や河内を本拠とした長柄首(ナガラのオビト)に由来すると言われます。

『長良』は9世紀に実在した藤原長良に由来すると言われます。

 

私は学生時代に深夜放送を聴きながら勉強(?)した『ナガラ族』でした。

 

丹羽慎吾

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です