フランスあれこれ101 コンシェルジュのおばさん
みなさん、「コンシェルジュ」という言葉をご存知ですよね。本来フランス語ですが日本でも帝国ホテルなど一流のホテルの玄関口でなんでも相談・案内人として古くから存在しました。最近では大手のマンション、病院、百貨店、更にはスーパーマーケットなどにまで名前が出てきます。いずれも昔の一流ホテルでの存在感が進化したのでしょう。
一方本家のフランスでは、衰退といおうか消えていくばかりです。一般にコンシェルジュというのはホテルもさることながら、共同住宅の門番つまり管理人のことなのです。ただ日本の管理人と違って住み込みで、共用部分の掃除、新聞や郵便物などの各戸への配達、日常のゴミ出しなどの雑用全般を担当しています。
建物の入り口ドアのすぐ裏がコンシェルジュの住まいで、ワンルームの室料・ガス・電気・水道を含めすべて無料。ただし給料は非常に低いと聞いています。年末に居住者の皆さんから若干の心づけをもらいます。生活は厳しく通常は独身の女性が多いようです。
今から半世紀以上前ですがパリ駐在当時のアパートのコンシェルジュの小母さんには大変お世話になりました。慣れないパリでの生活で色々と教えて頂いたのですが、時にはベビーシッターもお願いしたことがあります。子どもは学生アルバイトのシッターにはどうしてもなじまず、日頃話しかけてくれる小母さんの方がよほど親しみがあったのだと思います。その都度、適当なお礼はしていましたが、ほんとうに助かったものです。このコンシェルジュは既婚者で、夫は近くの鉄工所勤めと耳にしていましたが、ふだんは全く手伝いません。アパート代を節約して老後の貯えに努めていたのでしょうか。
当時耳にしたのはフランス人が少なくスペインやポルトガルからの移民、更にはアフリカ系の移民が担当するようになってコンシェルジュ自体の存在が薄く小さくなっていったようです。
最近は更に技術の応用もあって、住民は自分の部屋だけでなく玄関ドアの鍵も持参するだけでなく暗礁番号、更には顔認証などと進化、清掃などは全て外部の業者任せするなどほとんど解放状態になったと聞きます。その結果環境として結構物騒になったようです。ひどい時は各戸の玄関のドアをぶち破られたとも聞きました。
(本稿に該当する写真などはネットでも見つかりませんでした)