シンゴのきになる話⑭ すごい植物たちの巻(葉っぱ七変化 その3)
裸子植物は大事なタネ(胚珠)がむき出しになっていて、動物に食べられる危険があります。
また、風で花粉を運んでいては受粉する確率が少ないのでより多くの花粉を作る必要があります。
するとエネルギーがたくさん必要となります。それに受精してはらタネが出来るまでに時間がかかります。
それで植物は考えました。
胚珠を動物に食べられないように守り、かつ花粉をより少ないエネルギーで少量生産し、確実に受粉(受精)させる方法がないか。
それで胚珠を子房の中に入れて受粉できる状態にまで守り育て、受精したらすぐにタネが出来るようにしたのです。
めしべに確実に花粉を受粉させるために花粉や蜜を食べにやってくる昆虫を利用することを考えました。花にとって昆虫は敵でしたがそれを利用することを考えたのです。
多くの花は同じ花のめしべとおしべで受精してタネをつくりません。
同じ花のおしべから受精すると同じ遺伝子を持った子孫が出来、同じ時期に咲きます。
そうする抵抗力を持たない病害に遭遇すると全滅してしまうのです。
それで子孫を残すために違う遺伝子を持った同じ種(シュ)と受精することにしたのです。
その虫媒花に最初に利用されたのはコガネムシやアブのようなあまり遠くへ飛んでいかない昆虫だったといわれます。しかし、それらの昆虫たちは花の種類を選ばなかったので違う花の花粉まで運んできてしまいます。違う種類の花粉では受粉(受精)してタネを作ることができないのです。
そこでまた、植物は考えました。
同じ仲間の花の花粉を集めるにはどうすればよいか。
ある植物は群れになることを考えました。群れなって咲けば回りが同じ仲間ばかりとなり、近場しか飛び回らないアブを利用できるというものでした。アブは春先に活動し、黄色い花を好みます。
それで春先に咲くナノハナやタンポポは黄色い花を咲かせ、群れになって咲いているのです。
またある植物は活動的でより遠くに飛び回るミツバチに目を付けたのです。
そのミツバチに花粉をつけるためにどうしたらよいか。
また、植物は考えました。
そして、蜜をたくさん与えることにしたのです。
しかし、それでは他の昆虫もやってきてしまいます、ミツバチだけを呼び寄せるにはどうしたよいか。
それでまた、植物は考えました。
そして、蜜を花の奥に隠し、それを見つける能力のある昆虫に与えようとテストをしたのです。
そうすると花の奥まで入ることができて、蜜を吸って外に出て来るときは後ろ向きで出てこられるミツバチのような体型の昆虫だけが合格することができたのです。
そのように被子植物の葉はガク、花弁、おしべ、めしべ、子房、苞などいろいろ形をかえていったのです。また個体維持のため熱帯や寒帯で生き延びるために葉は別の苦労もしていますよね。
(葉っぱ七変化の項 おわり)
参考図書:面白くて眠れなくなる植物学 稲垣栄洋著 PHP研究所