シンゴのきになる話⑮ この木なんの木の巻(インド編)

今回は、インドに駐在していた時代、よく見かけたある樹木の話です。

見てくださいこの木、なんの木か、わかりますか。

バンヤンツリーと言います。

どこから幹でどこから枝で、はたまたそれが幹なのか根なのかわかりません。

気候風土は人を作ると言いますが、木も一緒ですよね。

一人ですくっと立っていません。

枝のどこからか沢山の根(気根)が出て、それがぶら下がり地上につながり全体を支えています。

まさに大家族主義のインドそのものを表しています。

 

そういえばインドネシアのメランティという木(フィリピンのラワン)は陰樹と呼ばれます。

苗の時は親の木に太陽の直射日光を遮ってもらい、大きくなると自分で太陽を浴びるといいます。

これも母系社会インドネシアを表していませんか。

なお、インドネシアでもバンヤンツリーは多様性の中の統一の象徴でよく使われています。

 

 

最近の日本の山林は時代を反映していますよね。

下刈りをしないので山が全体に駄目になっていると聞いています。

またお金儲けのため早く成長する木ばかり植えたため治水能力不足、海の生物へのミネラル供給不足、花粉症に悩んでいるとか。

昔の広葉樹林に戻したほうがいいのではないでしょうか。余談でした。

 

左の写真の人はオート(三輪タクシー)の運転手です。

私がオートに乗る前に木の写真を撮ろうとしたら、自分で木の側に行き勝手にポーズ作ってしまいました。

それにしても、この枝というか幹というか重なりあった模様は、何だか人間の顔や、体が重なり合っているように見えませんか。

またそれらがうごめいているように見えませんか。

 

世界で一番大きなバンヤンツリーはカルカッタにあるそうです。

森が一本の木で成り立っているそうです。

 

思い出します。商社の木材部に所属していた頃のインドネシアの山奥でのサーベイ。

ヘリコプターで森林の上を飛び少しだけある平地に降ります。

あとは一週間後に迎えに来るだけ。

昼間は地図上でまっすくに2kmほど歩いて左右に見える樹木の調査をします。

先頭を歩く人が25mの紐を腰に結わえ、まずスタート時に木にナタで傷をつけます。

一番後ろの人がその傷のところに行くと『OK』と叫びます。

すると先頭の人が近くの木に傷をつけて行き、同じ事を繰り返すのです。

当時はそうやって一日歩いて、立っている木の種類や大きさ、数を調査するのです。

今なら航空写真で一発でしょうか?

地図上では一直線ですが、実際は山あり、谷ありです。

そのがけを登り、降りなければなりません。

怖いのは猛毒のグリーン・スネークです。

これは小さな細い蛇です。小枝のようにぶら下がっています。

そして噛まれたら痛い山ヒルです。

山ヒルに噛まれたらライターの火で炙ってから剥がすのです。

木の上から落ちてくるのです。首にはタオルを巻いて歩きます。

夜は小川の近くで野宿します。

毎回ベーコンの缶詰料理です。ベーコンは今でも見るのも嫌です。

スコールが来る。水面が見る見る上がってきます。怖かったです。

寝る前にクーリーたちと真っ暗な中でお化け、幽霊の話をします。

インドでバンヤンツリーを見るとその頃を思い出します。

シンゴのきになる話⑮ この木なんの木の巻(インド編)” に対して1件のコメントがあります。

  1. Gicchon より:

    このコーナーで、インドにたくさんあるという、バンヤツリーという木を始めて知りました。
    インドでは大家族主義のインドそのものを表わし、インドネシアでは多様性の中の統一の象徴とか。
    世界で一番大きなバンヤツリーは森が一本の木で成り立っているとのこと。凄い!
    お写真がたくさんあるのでよく分かりましたが、でも日本の植物園(植物館)では見たことがありません。
    大木だから?それとも見落としている?
    ハイムの広場はどこに迷い込んでも、未知なる世界に出会えるようです。

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