追憶のオランダ(11)ホワイトアスパラガス
今から30年近くも前の話になりますが、何度目かにオランダに出張で行った時のことです。時期は5月末頃。午前中に訪問先での仕事を終えて帰ろうとしたら、先方の人から昼食に誘われ、とあるレストランへ。そこで食べたのが初めてのホワイトアスパラガス料理でした。それまで、日本で瓶詰になった細いフニャフニャしたアスパラガスしか食べたことがありませんでしたし、それは何かの付け合わせといった感じのものでした。しかし、レストランで出されたものは形こそ瓶詰のものとよく似てはいますが、存在感が全く違い、太く立派なものが大皿に確か4-5本、その上にゆで卵を微塵に刻んで何かマヨネーズ風のソースがかかっているものでした。立派なメイン料理と言えるものでした。
聞くと、ホワイトアスパラガスはこのあたりでは5-6月頃に旬を迎える食べ物(野菜)で、その時期に味わうのが一番という、いわば日本の筍のような感じです。
その時期になると、街の市場・スーパーなど至る所で新鮮な朝採れのアスパラガスが店先で見られるようになります。見ると直径2センチ以上の太い20センチ以上のものが何本も束にされて並んでいます。
家族とともにオランダで生活を始めてからは、毎年この時期を楽しみにしていました。最初は料理の仕方がよく分からず、皮をむいて茹でるということしかわかっておらず、茹でたもののすじが強くて歯に挟またり口に筋が残って食べにくいのです。昔レストランで食べたものを思い出して、どうもどこか違う・・・。何度か試行錯誤をして分かったことは、まずできるだけ太いものを買って、厚めに大胆に皮をむくこと、内側に籠が付いた縦長のアスパラ専用の鍋を使うこと、茹でる時には剥いた皮も一緒にゆでること(皮を一緒に茹でることでアスパラガスの持つ旨味が失われない)。ソースはそれぞれの好みがあろうし、茹で加減にも各人の好みがあります。私自身は、あまり茹ですぎずに、熱々に生醤油を滴々たらして、フーフー言いながら食べるのが好きです。
日本に帰国してからというもの、5-6月になると家族みんなで「ホワイトアスパラ食べたいな」という会話をしていましたが、何年か経ってある日、それまではお目にかかったことのないホワイトアスパラですが、時々スーパーなどでも生で3-4本束にしたものを売っているのを見かけるようになりました。ちょっと細くて、しかも値段が割と高くて大いに不満はありましたが、3束ほど買ってきて昔を思い出しながら食べたことが何度かあります。
最近は、その頻度が増えてきたように思っています。日本でもファンが増えたのかなとも思っていますが、どうでしょうか?