追憶のオランダ(21)トイレ
ここ10年以上私はオランダに行く機会がほとんどなく、もしかするとオランダのことゆえ様子がガラッと変わっているかもしれませんが、私が住んでいた20年以上前に経験した昔の話をしましょう。
同じヨーロッパのなかでも、オランダの男子用のトイレの小用の便器というのはちょっと困りものでした。というのも、あまり背の高くない人たちにとっては、設置されている便器の高さが問題なのです。床面まである縦長のものは問題ないのですが、いわゆる朝顔型の便器の設置場所がオランダでは少し高すぎるのです。したがって、私など170cm程度の身長のものにとっては極端に言えば爪先先立ちして用を足さなければならないことがあるのです。物理法則に従えば、どのみち下に落ちるものなので、わざわざ朝顔を高く設置しなくてもよさそうなものです。オランダ人の背丈に合わせていると言えばそれまでですが、特に昔からの古いレストランやカフェなどのトイレはこのようなものが多かったような記憶があります。大の大人でも子どものように、踏み台が欲しいくらいでした。新しくできた店とか、空港・鉄道の駅などの公共の場所ではまあ標準的なものになってはいましたが・・・。
それと、トイレの関連でもう一つ面白いことを。
トイレを汚さないようにと、日本でも「もう一歩前へ」とかの面白い標語を目にすることがありますが、オランダの便器で、落下地点付近のほんの少しだけ左側に、小さなハエの絵が陶器製の便器に青く、あるいは黒く染め付けられていることがありました。利用する人が、思わず知らずそのハエを狙ってしまう心理を読んでのアイデアだと思いますが、これには苦笑せざるを得ませんでした。日本にこんな面白い便器ありましたか?なんとなく、オランダ人らしい発想だなと思ったのを今思い出しました。余計な標語を書くよりもよほどスマートです。
グッドアイデア!
話は少し「下」よりですが、この「センス」好きです!
どこかヨーロッパの街角でしたか、たばこの吸い殻入れにある質問が書かれていて、「Yes」と「No」の二つの受け口を設け投票するようにしたものがありました。これで、吸い殻のポイ捨てがなくなったそうです。
東海道新幹線の男子トイレでも似たような工夫がなされています。印がついているとそこに向けて発射?したくなる人間心理をついていますね。