追憶のオランダ(69)花束を手土産に
さすがオランダはチューリップの国でもあり、農業国だと感じる。実際、オランダの花卉産業は世界有数の規模を誇っており、チューリップ以外にも多くの花を温室で栽培している。スキポール空港に近くなり飛行機の高度下がってくるとまっ平な大地にビニールハウスならぬガラス張りの温室がたくさん並んでいるのが見えてくる。野菜ももちろんだが、多くの花を栽培しているハウスなのだ。どおりで、街のあちこちで花屋をみかけるし、日本などではあまりなじみがないが、駅などでも必ずといっていいほど花を売っている。冬は寒い国だが、自国の温室で栽培されて年中豊富な花が、しかもとても手ごろな値段で売られているのだ。オランダの花の取引高は世界の6割を占めると言われており、その中心的な市場がスキポール空港近くのアールスメーア(Aalsmeer)というところにある。想像を絶する百万平米ともいわれるその広大な市場の屋内施設のいかに合理化・近代化されていることか。連日海外からも多くの見学者が訪れる観光スポットにもなっている。
これが集荷場のごく一部。
これは近代的先進的なセリ会場。
ということで、誰かの家を訪問する時、日本なら何か手土産にお菓子とかが頭に浮かぶが、オランダではもっと気軽に花束を持って行くことが多い。日本で花束を作ってもらうと結構な値段がするがオランダでは半分以下(もっともっと安いかもしれない)の感じで見栄えのする花束が出来上がってしまう。私自身、引っ越しをした時、お隣さんに挨拶に行ったときは、オランダ流で花束を持って行った。それは、事前にオランダ人の同僚に聞いていたからだ。また、ちょっとしたパーティーなどに出かける時も花束は欠かせないと小道具になる。特別に豪華な花束でなくても、十分気持ちが伝わればそれでよい。