荻悦子詩集「時の娘」より「サンタ・ローザ」

サンタ・ローザ

サンタ・ローザ 転がる
白木のテーブル
水を得てそりかえるポトスの蔓の下
サンタ・ローザ 転がる

田舎娘ローザが転べば
口笛のひとつも飛ばしてみたいが
尼僧姿ローザ様 転ぶとあらば
やはり見ぬふりをするべきか

サン・ローラン村
セント・キャサリン通り
サント・ドミンゴ公園
溢れていた聖

地上を聖地に変えたい悲願は
武骨な木に実る
すっぱい果実をも見逃さなかった
”サンタ・ローザ!”

粉を吹いたすもも
転がる

荻悦子(おぎ・えつこ)
1948年、新宮市熊野川町生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。作品集に『時の娘』(七月堂/1983年)、『前夜祭』(林道舎/1986年)、『迷彩』(花神社/1990年)、『流体』(思潮社/1997年)、『影と水音』(思潮社/2012年)、横浜詩人会賞選考委員(2012年、16年)、現在、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、横浜詩人会会員。三田文学会会員。神奈川県在住。

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