私のおすすめこの1冊!「カドフェル神父」シリーズ
コロナ禍による巣ごもり生活を余儀なくされて早や4カ月が経ち、あっという間に今年の前半が過ぎてしまいました。筆者自身はこの外出自粛期間と時を同じくして少々体調を崩し、一時はパソコン操作もままならない状況になりました。
ただ、日々の暮らしの中で多くの時間をHP制作に充てていたため好きな読書が出来ていなかったのが、一転、絶好の読書週間にすることが出来たのは不幸中の幸いだったと思っています。
以前、このコーナーで小学生のころから推理(探偵)小説が好きで、子供向けの「シャーロックホームズ」シリーズを全作読んだことを書きました。コナン・ドイルの後は、当然のようにエラリー・クイーンやアガサ・クリステイに親しむようになっていきましたが、それ以上に広がることはなく、中途半端なファンであったかもしれません。
今でも推理小説は好きですが、小・中学生の頃ほどではなくなったかなと思っていたら、やはり人生は人との出会いが大きいものです。たまたま、最近知り合った友人から紹介された本の中に、このシリーズがあったのです。推理小説ファンには有名なエリス・ピーターズ著「カドフェル神父」シリーズを初めて読むことになりました。
読んでみると、12世紀のイギリスが背景になっており、当時の実際の歴史が描かれています。シュルーズベリ大修道院の修道士であるカドフェルが、時には陰惨な殺人事件を緻密な叡智と慈愛でもって解決に導くという展開になっています。DNA鑑定などの技術がなかった時代の捜査が却って興味を引くポイントになっているかもしれません。
単なる謎解きの面白さだけでなく実際の歴史が描かれているところに興味が倍増します。さらに、作者は、修道士カドフェルを元十字軍に所属して中東に遠征した経験を持ちあちこちで複数の女性とのロマンスもあったことなど、禁欲生活のイメージが強い一般的な修道士とはかなり違う人物として描いています。
ベネディクト会の厳しい戒律を遵守しながらも、罪を犯した人に対する対処の仕方にも慈悲が感じられるのは、所謂俗世間の人間臭いことは全て経験したからこそできる、酸いも甘いもかぎ分けることのできる人物だからでしょう。
また、作者のエリス・ピーターズは、薬草類(ハーブ)に豊富な知識を持ち、それを活かしてカドフェルを、毎回、病人、怪我人を治療する医者の仕事をこなせるキャラクターにしているところも魅力です。これも作者の子供のころからの経験が大いに役立っています。この探偵役の人物像は今までの推理小説にはなかったキャラクターで筆者が最も惹かれたポイントです。
ということで、「修道士カドフェル」シリーズは
・推理(探偵)小説が好きな人
・ヨーロッパ(特にイギリス)の歴史が好きな人
・ハーブに興味がある人
などにお薦めです。
本日現在、1巻から7巻まで読みましたが、20巻ほどあると聞いていますのですべて読むつもりでいます。
西 敏