シンゴ旅日記インド編(その55)インド駐在員の話の巻
昨年の正式赴任前にインドに出張し日系企業のお客様にご挨拶して回りました。
その時に駐在員の皆さんからお聞きした話です。
こちらからの質問は単身赴任なので次のようなものでした。
『食事はどうしているか?』
『掃除はどうしているか?』
『休日はどうしているか?』
『会社の特別手当はどうなっているか?』
『帰国休暇はどうなっているか?』
メーカーの工場長:休みの日に自分のアパートの部屋をメイドに掃除してもらうって?
とんでも無い、休みの日くらいはインド人の顔を見たくないのだよ。
毎日会社で顔を見ているだけで十分だよ。
メーカーの総務担当:駐在員の皆さんはそれぞれにこだわりがありますよ。
歯ブラシ、歯磨き粉。シャンプーとか。
インド製では駄目で皆さんが日本に帰国したときに買って来られますよ。
メーカーの主任さん:子供が大学生と高校生で教育費の支払い、住宅ローンの支払いが
まだあります。お金が掛かるのです。
ここは特別手当が出るので単身赴任で我慢しているって感じです。
銀行の次長さん :私はミラノ、ドバイに駐在しインドに来ました。
今回は家族は日本です。私は単身赴任です。
自分で言うのも何ですが、料理を作るのが好きなのです。
毎日自分で作った手弁当です。今日は『すき焼き弁当』ですよ。
日曜日に作り溜めをしておきます。冷凍しておけば結構長持ちしますよ。
メーカーの部長さん:バンコクに次にいつ行けるのかを楽しみにしています。
タイとインドは天国と地獄です。
タイはマッサージもあるし、居酒屋もあるし、DVDもあるし。
そして買ってくるものは玉ねぎと生卵です。
大きな冷凍庫がアパートにあります。
そこに保存して置くのですよ。
こちらの玉ねぎは硬いのです。それに小さくて柔らかくないのです。ここの卵は生では怖くてとても食べれませんよ。
唯一インドが好きだと言われた方がいました。
プネ在住9年間の東京外語大学ヒンディー語出身の方でした。
東京と大阪に違いはありますが、私も外語大出身ということで話が盛り上がりました。
でもこの方はタイの大学に招待されていて、そこでインドのヨガ哲学を講義されております。
プネにいるのは年に2-3ヶ月のようです。
奥様は日本人です。お会いしたときはサリーを召されていました。
短時間のお話でしたので、話題がコロコロ変わります。コ―ヒー・ショップでの昼の会話です。
ここ2-3年ですよ、インドが注目されて来たのは。
この前もNHKが放送すると言うので私にインタビューに来ました。
それまではインドに住んでいるというと変わり者扱いでした。
でも面白いですよ、インドは。
政治はなんといっても国民会議派が面白いです。
またインドはアーリア人が征服したと言われていますが最近の研究ではそれが違うという学説が出てきました。
3大財閥のうちタタはペルシー(ペルシア人)、つまりゾロアスター教なのです。
貧民救済、慈善事業を社会貢献と考えています。
リライアンスはグジャラティ商人で、株主に貢献することが社会貢献としています。
ビルラはジャイナ教です。ラジャスタン州のマルワ-ル商人です。
インドと日本の間で時間的、空間的に宗教、文化、言語がどのように伝播していったかに興味があります。現在はタイの大学でヨガ哲学を教えています。
日本に帰国した時は帰りに中国や台湾に寄って調べています。
インドネシアのヒンズー教、言語にも興味ありますよ。
インドネシア語やその文化について今度教えてください。
上記の他に私が赴任した時にこんな話も聞いたことがあります。昔のインド駐在員で帰国時に空港でチェックインした後は見送りの人に振り向きもせず一目散に飛行機に乗り込んだ人がいたというのを。
そして今、私は赴任二年目を迎えました。先日デリーの日本大使館、ジェトロの人たちとお話をする機会がありました。そこの若い人たちはインド大好き人間が多かったのです。希望して二回目の駐在をしている人もいました。インドは変わりつつあります。デリーなど大都市ではもう昔の不便さはなくなってきたのでしょう。
私も好きになりました。モヘンジョダロ、ガンダーラ、ゴダイゴ、モンキーマジック、あれっどっかで違ってしまいました。インドって知れば知るほど面白い国ですよ。
丹羽慎吾