追憶のオランダ(35)コーヒー好きの人々
オランダ人は大のコーヒー好きである。朝起きて出勤する前に家で1-2杯、仕事場についてから仕事にかかる前にもう1杯。朝の一仕事が一段落したら、またもう1杯。朝の仕事を始めるのは意外と早い、そして、昼食の時間は12時30分くらいから1時間というのが一般的。昼食までに既に3-4杯は飲んでいる。
昼食後に1杯。3時頃にまたもう1杯。家に帰るまでに午後だけでも2-3杯は飲むことになる。多分家に帰っても飲むだろうし、夕食後は当然のように飲むことになるので、一日の合計7-8杯は飲む勘定になる。あるいはもっとかもしれない。
このコーヒー、会社などでは無論タダだが、オランダ人はケチだからただのコーヒーをたくさん飲むということではない。日本人がお茶を飲む感覚で飲んでいるだけ。
コーヒーの味だが、豆がうまいのか、煎り方がうまいのか、会社に置いてある自動のコーヒーサーバーで入れるコーヒーだが、なぜかうまいのである。そして、感心することが一つある。それは、普段はあれをやれ、これをやれと指示しないとなかなかやってくれない人でも、コーヒーサーバーのコーヒーが切れかけると、その時だけはそそくさと率先してセットしてくれる。ただ自分が飲みたいというのもあろうが、自然と体が動くようである。そんなものか、と思わずニヤリとしてしまう。やはり、コーヒー好きなのであろう。コーヒーにもいろいろな銘柄が売られていたが、我が家でも会社と同じ銘柄のコーヒーを買っていた。大体どこのスーパーでも売っているDouwe Egbert ( ダウ・エグベルト )という会社のもの。このメーカーの工場はロッテルダムから東へ行ったユトレヒトというオランダ3番目の都市郊外にある。近所まで行くと、一帯にいい香りが漂ってくる。
それを知らずに初めてユトレヒトに行った時は、どこのカフェからだろうと思ったが、かなり広い範囲から匂いが消えないので、不思議に思ったことがある。町のその一角全体がコーヒーのいい香りにつつまれている、その源がD-Eの工場だったのだ。
このコーヒーは通常250グラムの真空パックになっていて、ちょうど四角なレンガ状のカチンカチンの包装で、オランダ土産にその都度日本に持って帰ったことがある。また、帰国してからも、友人に土産に何がいいと聞かれ、迷わず、このコーヒーとジュネーバーを頼んだ。さらに、可能であれば、真空パックになったパーリング(何回か前にお話しましたね)。
それと一つ言い忘れていた。一般的にカフェなどでコーヒーを注文すると、カップの横に小さなクッキーあるいはビスケットなどがそっと添えられている。これはどこに行っても、家庭などで来客にコーヒーをすすめる時にもそうであり、オランダ流である。