新加坡回想録(3)増える国土面積
赤道直下の小さな島国であるシンガポールの大きさを形容するのに、昔は「淡路島」と同じくらいと言われました。独立の年1965年のシンガポールの国土面積は581.5㎢であるのに対し淡路島の面積は592.55㎢なので、この例えは間違いではないし両方とも”島”であることでイメージしやすかったと思います。
普通国土面積というものは毎年それほど変わるものではないはずです。ところが、この国だけにはその言葉が通じない。まるで人口や経済指標のように毎年変化しています。1965年に581.5㎢であったものが、一時、淡路島に代わって例えの対象となった東京23区mの627.57㎢を追い越して、2017年には721.5㎢にまで増えているのです。
勿論この国土面積の増加は、埋め立てによるものであることは言うまでもありません。この50年少しの間にシンガポールの国土面積は24%ほど増えました。土地が少ないと新たな産業を興すこともできません。土地を持たないというデメリットを逆手にとって80年代には金融などを発展させてきましたが、やはり最低限の土地は確保したいということでしょうか。
ところで、この数字に近い面積の島を探してみるとありました。それは、712.35㎢の奄美大島です。私の頭の中には30数年前の「淡路島くらい・・・」という言葉が染みついて残っているので今でもついそう言ってしまうことがあります。今後は、気を付けて「奄美大島くらい・・・」と言わなければならないでしょう。
因みに、日本の面積は37万8000㎢、マレーシアのそれは33万800㎢(日本の90%)であることを考えるとシンガポールはいかに小さいかがわかります。その小さな島に中国系、マレー系、インド系、その他の民族が犇めき合ってそれぞれ別々の文化や宗教を持ちながら暮らしています。
(西 敏)